第2章 命の灯火
「親子って本当に似るのね。」
椅子に腰掛けた遥香がポツリと呟いた。
「どういう事だよ?」
棗が不思議そうに遥香を見ている。
「秋本君だっけ?……本当にそっくりだもの…昔のパパに。」
笑みを浮かべながら遥香は誠也に目を向けた。
彼はいまだ、手で顔を覆っている。
「あの、クソ親父に?全然似てねーよ、何百倍も秋本さんの方がマシ。」
不機嫌そうに棗が言葉を吐き出した。
「あらあら、パパをそんな風に呼んだら駄目よ。本当にすごかったのよパパは。」
なにかを思い出すようにジッと手術中と赤く表示されたランプを見上げた。
「どこが?」
まだ棗は不機嫌そうだ。
「パパと付き合ってる時、何度も誘拐された事があるの。でもね、必ずパパが助けに来てくれた。どんなに危険でも怯まずにね。ある時……パパを庇って刺された事があった。その時、今の彼のようにずっと病院で―――」
遥香はそこまで言うと口を閉ざした。
ポタポタと涙を流している。
「どうしたんだよ!?」
棗がおどおどしている。
「きっと昔の事を思い出したんだろう。」
ジッと壁を見つめながら白川が呟いた。