第1章 絶望の宴
白川は先程起こった事を、迅速かつ簡潔的に説明した。
遥香は終始相槌(あいづち)をうち、それを聞いていた。
棗もまた然り。
話の終わる頃には、遥香は涙を流していた。
「……あの子……よっぽどあなたが好きなのね。」
涙を拭いながら、遥香が誠也を見ている。
「……俺 はを―――」
「でももう、 に関わらないで欲しい。危険なことに巻き込ませたくないのよ。」
真剣な表情で口から出される言葉。
それが何より誠也の心を締め付けた。
「母さんっ!!それはいくらなんでも――」
横から棗が叫んでいる。
「……最後まで聞きなさい。危険な事に巻き込まないで欲しいのは本音。でも、関わらないでって言うのはあまりにも可哀想ね。お互い好き同士なら。」
遥香の口許が緩んだ。
「大丈夫よ、あの子なら死なないわ。だってパパの子供ですもの、根性だけはきっとあるわ。あたしは、そう信じてる。」
ニッコリと遥香が笑った。
「……あ。」
ふと顔を上げた誠也は目を見開いた。
何故なら遥香の笑顔が大好きな人の笑顔と重なって見えるから。
元気になれるあの笑顔が目の前にある。
「はい………。」
誠也は小さく答えた。