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〇〇系男子

第1章 草食系男子


「千尋、今日オープンしたケーキ屋さん知ってる?」  


ある休日、背の高いマンションの一角で、目の前の彼、ミナトは言った。

「あ、あの有名なケーキ屋のチェーン店でしょ?」
「そうそう、それで"あの"ショートケーキ買ってきたんだ!」

女子みたいな会話を交わしている私たち。だけど彼は私の恋人であり男性。
女子力高くて、お酒はあまーいカクテルしか好まないし、甘いもの好き。
性欲だってあまりないし、私よりケーキの方が好きそう。

ショートケーキを丸くて白い皿に分けるとミナトは私にフォークを差し出した。
受け取り、早速ケーキをフォークでつついた。

「ありがとー」

そう言って私はケーキを口に入れる。
すると彼は心底嬉しそうに微笑む。

「美味しいね」

ミナトはそう言って笑った。

「そうだ、千尋さ、温泉行きたがってたよね」
「え?うん...」

いきなりどうしたんだろうと傾げながらも頷く私。
そういえばいつかパンフレットを見てそんなことも言ったような気がする。

ミナトは覚えててくれたの?こんなしょうもないことを。

「それで、一泊二日位で少し遠出して温泉でも行く?
 ......もうすぐ付き合って一年でしょ」


ホントはインドアな癖に…
そんな難癖みたいなものをつけながらも顔は綻ぶ。


「うんっ」

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