第2章 肉食系男子
「千尋ってばー」
ゆさゆさと、私の体は揺れる。
何かと思い体を起こすとマコトが頬を膨らませるような仕草をしてこちらを見ていた。
マコトがかけてくれたと思しきタオルケットをするりと下ろすと少し肌寒い。
「おはよ、っていうか千尋寝すぎ!」
「そりゃあ、こっちは弁当作りに必死だったんですから。」
「ごめん…」
しゅんとするマコトを他所に、帰る支度を始める私。
時計を確認すると夕方になっていて、相当寝ていたのだと後悔した。
「さ、帰ろう!」
その言葉を最後に広場をあとにして車に乗り込むと、家とは逆方向に車は進んだ。
「ちょ、家逆なんだけど!?」
「え?俺んちこっちだけど。」
お前の家は聞いてない!
つい、そんな悪態を吐こうとしたが、止めた。
車は彼のマンションの駐車場で止まった。
エスコートされ彼の部屋に入ると椅子のところへ誘導された。水を出された。
何をしたいのだろうか?
「今日はありがと、楽しかったー」
「こちらこそ」
どうやら彼はお礼をしたかったらしい。
そんなこと、付き合ってる者同士がすることなの?
「そんなのいいのに。だって私たち恋人同士でしょ?」
ごく普通にそんな言葉を返せば頬を赤らめるマコト。
「またそんなこと言って...。俺が誰かわかってる?」
ええ、分かるとも。まさにガツガツしている肉食系男子ですとも。
そんなことって...そんな不埒な言葉は言っていませんよ?
「あのね!俺今日お礼がしたかったのに、こっちが良くされてどーするの!!」
全く...とブツブツ言いながら下を向いて顔を紅くする彼。