第6章 軽男の本音 [ロナルド]
「ねぇ、付き合って…??」
始まりはこの言葉だった。
庶務課で人気の高い
オレンジ色の髪をした
チャラい男。
その男と曲がり角で
ぶつかったのが
運のつき。
恋とはいつおちるか
分からないものだ。
『は、はい……??///』
腰が退けている私に対し
壁に肘をついて私を見下ろすその男は
名をロナルド・ノックスという。
ロナルドさんは
「あ、今
はいって言ったよね。
じゃあ、来て…」
『えっ、え??
あの…えっ?』
有無を言わさず
グイグイと腕を引っ張っていく彼と
訳がわからないまま
腕を引っ張られていく私。
何が、どうなってるの?
普段使われない
資料室に連れ込まれ
壁に押し付けられたかと思うと
チュ…
キスされていた。
『んっ……ふぇ??//』
話したこともない
初対面の人とのキスに
怒りや焦りやドキドキというより、
何が起こったかわからない
宙に浮いているような
気分になったのを覚えている。
「じゃ、今日から
俺のオンナ、ね?♪」
ペロッと舌舐めずりをしながら
悪戯っぽく笑う彼を
何故か拒絶できなかった。
ほんとなら、
最低なことされたはずなのに……
またね♪と言って
資料室を出るロナルドさんとは
うって変わって
資料室でただ呆然と立ち尽くす私
さっきキスされた唇をおさえて。
『っ……///』
オンナとはどういう意味なのか…
私にはさっぱりわからなかった。
彼女ということ?
それとも都合のイイ女?
このことがはっきりしないまま
ときは過ぎていった。