第5章 変貌 [劉]
「大人になったら
僕、ちゃんを
お嫁にもらうね。」
『うん!!//
二人でお花屋さんして
仲良く暮らそうね!!』
いつの日か
幼なじみの男の子と約束した。
その子は
いつの間にか
引っ越していなくなってたけど、
私の夢は
ずっとそのままで、
自分のお店を出すにまで
至った。
**
『ふぅ、
今日はコスモスが
入荷したんだっけ…
たしか、花束の予約が……』
朝から忙しく
働いていると
「やぁ、こんにちは。」
と、にこにこと笑顔のまぶしい
アジア系の男の人が入ってきた。
『いらっしゃいませ…!!!!』
昨日、花束を予約してくださった
方だった。
『こちら、できてますよ~』
にこにこと笑顔を返すと
「これ、貴女に…」
綺麗に包んだ花束を
そっくりそのまま
渡される。
なんだか変な気分だった。
『へっ!?!?///
お、お気に召しませんでしたか!?』
焦って聞くと
「いやいや、
この花束を素敵な女性に
渡そうと思っていたんでね。」
いかにも
女たらしっぽい
雰囲気に納得のいく
発言だった。
『あ、ありがとうございます…///』
私は素直に花束を受け取った。
**
家に帰って
その花を花瓶に入れて
見つめる。
花束もらったのなんて
あの男の子以来だな…
もう、顔も思い出せないや…