第4章 飼い主[ウィリアム]
真夜中、
雨の降る公園で
缶ビール片手に
ブランコを揺らす。
『ヒック…んだよぉ…
わたしの何が不満なのよぉ…うぅ…//』
顔は雨なのか涙なのか
分からないもので
びしょびしょだった。
「……。」
通りすがりの
サラリーマンに
汚物のような目で見られる。
『んだ、コラァ!!!
見せモンじゃねぇぞ、こるぁ…!!//』
ブランコを持っていた手を
離して拳をあげると
ふらぁっと
地面が近づいてくる
こけた……
と思うと
グイッと何かに支えられた。
『……???//』
頭がフラフラで
思考回路はショート寸前
って感じ。
助けてくれたのは
さっきのサラリーマンだった。
「はぁ…何をやっているのですか。
体も濡れてますし、
家はどこですか?」
『家…家なんか…
家なんか…ない……うぅ…//』
酔っぱらって
赤くなった顔でまた
涙を流す私。
「家がない!?!?
まったく…仕方ないですね。
今晩だけですよ?
家に来なさい。」
この人はお節介なのだろうか。
酔っぱらってフラフラな
私を支えて
家まで運んでくれた。
**
『それでね、
ひぃくんがね、
私にいったの。
"お前がなに考えてるか
俺には分からねぇ
だから別れろ"って。
ヒドイよね!?!?ね!?!?』
かれこれ何杯目かと
言うほど飲んで
話したいことを話して
スッキリしている
私とは裏腹に、
ウィリアムという名の
自称死神は
うとうとと
眠ってしまった。
『寝ちゃったの~??
うぅ…この部屋寒い。
こんなんじゃ、
裸で寝れないじゃん…よっと…』