【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
「う・・・」
やっぱり、一人ではオラフを作ることができないのか。
レオノアは悲しくなって、庭の片隅に置いてある鉄製のベンチの雪を払い、そこに腰を下ろした。
真っ白な雪で覆われたローズガーデン。
閉じたままの窓。
形を成さない雪だるま。
どれもが、“ここにリヴァイはいない”ということを強調しているようで、余計に悲しい気持ちになる。
「やっぱり、リヴァイじゃないと作れないよ・・・」
レオノアは膝を抱え、コートに顔を埋めた。
寒い・・・
寂しい・・・
リヴァイに・・・会いたい・・・
どのくらいそうしていただろう。
体が冷えきり、クシャミをした。
キルシュタイン夫人に見つかったら、“風邪を引きたいのですか?”と怒られてしまう。
ふいに木から雪の塊が落ちる音がして、レオノアは顔を上げた。
そして、目の前にあるものを見た瞬間、二つの瞳が大きく広がる。
「え・・・?」
いつの間にか、作ったはずの雪だるまが姿を消していた。
違う。
姿を消したのではなく、姿を“変えて”いた。
静かにこちらを見ている、一体の雪だるま。
それは、まぎれもなく・・・
「オラフ!!」
短い足。
丸い胴体。
小さな胸。
いびつな形をした頭。
いったい、いつここに姿を現したのか分からない。
だがそれは、この世界で兄だけが作るものに間違いなかった。
レオノアは城を見上げた。
すると、先ほどまで閉じられていたカーテンが揺れている。
窓が・・・開いている・・・!
間違いない。
そこに姿は見えないけれど、リヴァイだ・・・!
レオノアは嬉しくなって、ベンチから飛び上がった。
そして、雪に足を取られながらオラフに駆け寄る。
『ギューって抱きしめて欲しい』
そんな風に言っているかのように、雪だるまは枝でできた両手を広げていた。
「大好きだよ、オラフ!!」
まるで魔法のように現れた、オラフ。
記憶の中のそれと何一つ変わらない。
レオノアは嬉しそうに雪だるまを抱きしめた。
そして、その光景をカーテンの間から静かに見つめる三白眼。
その瞳もまた、嬉しそうに揺れていた。
第2章 『 Do You Wanna Build a Snowman? 』 Fin.