【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
「リヴァイ」
自分を呼ぶ父の声に、リヴァイはハッと顔を上げた。
古い地図のようなものを握りしめた王が、自分を見つめている。
「行くぞ」
「・・・どこへ?」
「・・・・・・・・・・・・」
王は躊躇なくリヴァイの手を取った。
その大きな父の手は、まるでしもやけになったかのように真っ赤に腫れている。
「お前の力の秘密を知っている者の所へ。“彼ら”ならきっと、この魔力を消す術も、レオノアを助ける術も知っているだろう」
「・・・なら・・・レオノアは死なない・・・? 」
「わからない・・・・・・我々が頼れるのは、“彼ら”しかいない」
父も確信は無いようだった。
しかし、今は僅かな可能性でもすがるしかない。
親として、レオノアを失うことはもちろん・・・
リヴァイに、この呪いを一生背負わせて生きていかせるわけにはいかなかった。
「開門!」
まだ夜明け前。
城の門が開き、二頭の馬が勢いよく飛び出していく。
一頭には、レオノアを抱いた王妃が。
そして、もう一頭には、後ろにリヴァイを乗せた国王が。
供や、護衛の者すらつけず、暗闇の中を北の山に向かって走っていった。
キラキラとした氷の粒を撒き散らすように、来た道を凍らせながら・・・