第5章 松本潤の場合。
「……は、ははは。も、もの好きだなあ…!」
そうかわすしかなかった。今の言葉は反則だ。いくら私だって嬉しくなるにきまってる。
わざと笑う私に、松本くんはクスリ、ともしない。
「…へえ、そうくるか。」
「な、なによ。」
「いいや、今日は帰る。」
「………、」
その返しはなんですか。歳上をからって楽しいか。
松本くんがタクシーに乗り込む。
「あ、さん、」
忘れ物をしたかのように、振り替える。私より視線の位置が低い松本くんが、必然的に上目使いで私を呼ぶ。
「プライベートの俺を知る気は、全くないのかな。」