第4章 二宮和也の場合。
「・・・は?」
ひろちゃんの問いかけに自信を持って答えられる。
「同じ気持ちです。」
「・・・そう、か。」
ひろちゃんが立ち上がり、カズに「タバコある?」と聞いた。カズがポケットからクシャっとなったタバコとライターをひろちゃんに手渡す。
ベランダの窓際へ行き、ライターに火を点け、タバコを吸うひろちゃん。タバコなんて吸う姿、初めて見た。
「・・・っごほっごほっ、あー・・・やっぱ久しぶりのタバコは旨いな。」
ひろちゃんの行動に私達は同様が隠せなかった。
「・・・和也、小さい頃からお前には沢山我慢させてきた。こんな父親だから上手く家庭なんか作れなくて何度も失敗した。だけどやっと幸せだって思える家庭が作れた。これも全部、母さんとちゃん、それにお前のお陰だって思ってる。こんな俺でもお前たちがいるから、存在の意味があるんだって思う。・・・お前にもそういう人生を生きて欲しい。」