第4章 二宮和也の場合。
その姿を見て、我慢していたものが溢れた。
「お父さん、お母さん、・・・許して、なんて言いません。姉として、最低なことをしているのもわかっています。出て行け、というのなら私はカズを選ぶから・・・縁を切ってもらっても」
「、」
いつもはちゃんと呼ぶひろちゃんが、初めて私をと呼んだ。その声は、落ち着いているけれど、感情を押し殺しているような、低い声。
「・・・縁を切るなんて言葉、簡単に使うんじゃない。そんな簡単なことじゃないんだ。」
「・・・ごめんな、さ、い・・・」
「・・・和也、」
「はい、」
「さっきも聞いた、このことを両親に伝える本当の意味、お前はわかっているのか。」
「・・・はい。わかっています。
俺は、この先、結婚なんてできなくてもが隣にいてくれればそれだけでいいという覚悟が出来ています。」
初めて聞く、カズの決心。少し前までの不安と、後悔、今はそんなものひとつもない。
私にはカズしかいない。これからも、ずっと。