第4章 二宮和也の場合。
唇が離れると、カズが私のおでこに額を寄せる。
「…やっと届いた。」
「……ずっと、いたよ。」
「え?」
「私はずっとカズの傍にいたよ。」
「……そっか、」
「うん。」
額を離して、私の目を見つめるカズが優しくて、もうカズと2人だけの世界になればいいのに、なんてバカなことを考えた。
「…?」
「なに?」
「今のままじゃ、俺、好きな人に辛い思いをさせる最低な奴だ。」
「…え?」
「…言う、」
「…か、ず?」
「父ちゃんと母ちゃんだけには、ケジメ、つける。」
一番伝えてはいけない2人だってことは、わかってる。自分達の気持ちで、2人にまで辛い思いをさせることもわかってる。でも、2人に内緒にして、カズとの関係を続けることは出来ない。それはきっとカズも一緒なんだと思う。
これは乗り越えなければいけない問題。
「…カズ、大好きだよ。」
カズが私に笑った。この笑顔を見て、胸が苦しくなるのは、私達にまだ、やらなきゃいけないことが残っているから。