第4章 二宮和也の場合。
一緒に住み初めて1週間もしないうちに和也くんは随分打ち解けてくれるようになった。
「…ねえ、和也くん?」
「なあに。」
「お姉ちゃん、勉強したいんだけどな。」
私のベッドに横になり、ゲームボーイをピコピコピコピコ。テスト前だっていうのに、和也くんは学校から帰るとすぐに私の部屋に来ては、ただゲームをする。…なんなんだ、一体。
「していいよ。」
「うん、ありがとう、」
って違う!そうじゃないのよ!そのピコピコで気が散って集中できないのよ!
「カズくーん、ゲームはリビングでやろうよー。お姉ちゃんそのピコピコで勉強出来ないんだよう。」
私もベッドに腰掛け、和也くんの足をユラユラ揺らす。
「じゃあゲームやめる。」
「え、なんで。」
「別に。」
そう言って和也くんはゴロンと壁の方を向いてしまった。
「………和也くん、」
「………」
「和也くーん、」
「もう寝てる。」
「え!全然寝てないのに平気で嘘ついた。」
「…うるさいなあ、ここにいるの。」
おやおや、これはまさか?え?なに?待って、弟ってこんなに可愛いものなの?
「和也くん、もしかして私達すごく仲良し?」
「…………」
「あ、違った?」
「…違わない。」
寝転ぶ和也くんの耳が赤いのを見て、笑ってしまった。なんだかんだで、和也くんとは上手くやっていけそうだ、そう思った。