第2章 櫻井翔の場合。
彼からボタンを受け取った女の子達が寄り添って「よかったね」と涙を流している。
そんな女の子たちを見て彼は少し困ったように「大丈夫?」と心配して。
それだから皆好きになっちゃうんだよ、翔くんのこと。
…このばか。どんかん。気付けよこのイケメン。ってもはや褒めてるじゃない。
私もあの子達と一緒だ。翔くんからボタンなんて貰えたら嬉しくて泣いちゃうんだ、どうせ。くやしいけれど。
そんなマイナスな考えばかりが頭を廻る。これも卒業という行事のせいだ。この左胸に刺さった赤いお花の胸飾りと黒の筒に入った卒業証書が私を感傷的にさせるんだっ。
んー!こんなものぉ!
と卒業証書の筒を窓枠にパコパコ当てていると、下にいる彼と目があった。