第2章 櫻井翔の場合。
あ、やば。変なとこ見られた。
案の定、彼は眉を下げて声を出して笑う。
「なぁーにやってんの!」
下から大声で叫ばれたせいで、皆の視線が私に集まった。
「……あー…いや、はい」
「何言ってっか、わかんない!」
「うん!ほら、女の子達待ってるよ!」
写真待ちの女の子達が私を見て「ありがとうございます」とでも言うようにお辞儀をされた。
いいのよ、女子、私は気持ちがわかるからね!と私もニッコリお辞儀を返す。
「………」
なにも言わずに、私を見る彼の顔がなんだかムスッとしていた。
え、私なんかした?と見つめ返すと
「ねえ!」と叫ばれる。
「うん、だから女の子達待って」
私の言葉を待たずに翔くんが校舎に近づいてまた大声を出した。
「俺はを待ってんだけど!」