第2章 櫻井翔の場合。
さっきまでここにいたはずの彼が後輩たちに囲まれて写真を撮る。
そして、1つずつ無くなっていくボタン。それを一部始終見守る私。
なんなんだ、これは。これじゃあまるでとんだ小姑だ。
「…はあ、情けないぜ」
なんてついため息混じりの独り言をついてしまった。
高校を卒業したら、違う大学へと進む。今までの日常とは違い彼のいない生活が始まる。
私にとってそれは大きなことで。こんなところで頬杖ついて時間の経過をゆっくり待つなんて暇はないはずなのに。
「どうもできないんだよなあ、これが」
またため息が出て。
今更告白だなんてキャラじゃないし、第一そんな関係じゃないし、出来れば大学が違っても皆で一緒に遊びに行ける、そんな関係でありたいし。
あーあ、女友達だなんて、最悪なポジションとっちゃった。
このポジションのおかげで彼との思い出は沢山ある。写真だっていっぱい。でもそのおかげで、1番なりたい場所にはいけなかった。