第5章 松本潤の場合。
丁度その時、テーブルに置いてある私の携帯がブルル、と揺れディスプレイが光る。メール受信の文字と差出人アンドリューの名前。…はい、私わざわざアンドリューの名前を電話帳に登録して、あたかもアンドリューからメールがきたかのように、よりリアルな雰囲気を自分で作っていました。アンドリューネタに関しては、バレると虚しいことしかない。
松本くんの視線も私の携帯に向いていることに気付くと、「あ、アンドリューはね、」と何故かすかさずアンドリューとの関係を訂正しようとした。唯一、心の拠り所であった、アンドリューをないものにしようとした。
「へえ、それが噂の?」
松本くんのその余裕があるような表情からは、私じゃ何も読み取れない。なぜなら経験値が低いから。
「あー…うん、アンドリュー。」
「やっぱり海外の人はさんが夢中になるくらい甘い台詞を言ってくれるんだろうね。」
「ま、まあ…」
外れてはいない。
「…何を言ってくれるの?アンドリューは。」
「え!?」
そ、そんなこと私の口からは言えないくらい、こっぱずかしいことよ!アンドリューからのメールを思い出して、急に自分が恥ずかしくなった。あー!いい歳して痛い女だって幻滅される。
「そんなに、好きなんだ。」
「……え、」
「…さん、俺も負けないよ。いっぱい、言える。さんが聞いてくれるなら。」
「……、」
松本くんが私の指に軽く触れる。触れただけなのに、バチっと電気が流れたように、私の鼓動が活発に動き始める。
「その、俺の言葉が信じられないような目が死ぬほど好き。」
松本くんの言葉に、ゴクリと息を飲む。