第3章 読めない 《HUNTER×HUNTER キルア》
俺はその日、一睡もする事ができなかった。
別に寝なくても大丈夫なんだけどな。
ただ、星楽はぐっすり眠っていて体を少しでも動かすと
起きてしまいそうだったから、俺はずっと同じ姿勢でいた。
おかげで今、肩が凄く痛い。
けれど星楽の体の温もりを感じていられて嬉しかった。
星楽「…!キルア!!なんだ、夢か…」
キルア「おぉ、おはよう。」
星楽が目を覚ました。
なんか、一瞬怖がっているように見えた。
星楽「…!もう朝なのか?」
キルア「ああ、まあな。」
星楽「悪い!私ずっと肩に寄り掛かったままで!」
キルア「別に大丈夫だって。俺、そーゆーの馴れてるし。」
星楽「そ、そうか……。」
少しの沈黙になった。
…沈黙は辛いから、
キルア「そろそろ行こうぜ。他の奴らが来るかもしれねーし。」
星楽「ああ…そうだな。」
俺達はまた、歩き始めた。
すると、星楽は立ち止まった。
キルア「…?どうしたんだ?」
星楽「………夢を見たんだ。私が、初めて人を殺した時の夢だった…。」
なるほどな、それで星楽は起きた時に、怖がっていたのか。
星楽「あの時、私…人を殺したのに、なんとも思わなかったんだ。
だから私は、そんな自分が怖くなったんだ。………いつか、
みんなの事も殺してしまうんじゃないか………って。」
そう言った星楽は怯えているのか、少し声が震えていた。
そんな星楽を見て、俺は守りたいって思ったんだ。
キルア「大丈夫。星楽がそうなったとしても、
俺が全力で止めるから。」
そう言うと、星楽は
星楽「…そうか。じゃあ、期待しとく。」
と、言っていつもの貼り付けたような笑みになった。
この笑みになると、何を考えているのか全然読めない。
それでもいい。俺は絶対星楽を振り向かせて見せるから。
キルア「覚悟しとけよ…。」
星楽「なんか言ったか?」
キルア「なんでもねーよ。」
《END》