第6章 かわいい後輩(海堂薫)
今まで感じていた視線は応援だったのか。
そういえば乾先輩も応援がどうとか言ってたな。
『…でも海堂先輩、怒ってますよね…
すいません…もう二度としません…』
また少女はしゅんとしてしまった。
…クソ…これじゃあ胸糞悪いじゃねーか…
『…チッ…勝手にしろ…』
『えっ…!?そ、それって…!?
これからも海堂先輩を…見ていてもいいってことですか…!?』
『お前、名前何て言うんだ。』
『です!!一年○組!!
図書委員!!A型!!好きな食べ物は…』
『そこまで聞いてねぇ!!………。』
『は、はい…!!』
『…暇があったら…練習見に来い…』
『え…いいんですか…!?やったー!!』
能天気で無駄に明るいを見ていると
怒る気も失せてしまった。
その時の名無しの笑顔は夕焼けで
オレンジ色に染まっていて綺麗だった。
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『おいマムシ!!あそこにいるのお前の彼女か!?』
『ち、ちげぇ!!ただの後輩だ!!』
『へぇ~可愛い後輩じゃん!!俺、話しかけちゃおっかな~!!』
『てめぇ桃城!!ふざけんな!!』
『あ、あの子こっち見て手振ってるぜ!!おーい!!』
『…桃城、海堂!!グラウンド30周!!』
こうして海堂に無邪気なかわいい後輩が出来たとさ。
二人が付き合うことになるのはもう少し先の話。