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テニスの王子様 短編集

第5章 保健室の王子様(白石蔵ノ介)


『さん…やろ?』

『…!!』

あの包帯事件の次の日から、白石蔵ノ介は毎日保健室に来るようになった。
しかも、私の名前もばれていた。
終わった…私の人生オワタ…グッバイ…私の保健室ライフ…
私はこの男に解剖されて、なにかの実験台にされて死んでしまうんだ…

『そんな危ない人を見るような目で見んといてや。』

『…エスパー白石の恐怖…』

『…は?』

『き、君はエスパーなんだろう…!?
だから私の名前を知ってるんだ…!!
初めて会った時だって私の心を読んだじゃないか…!!』

『いや…名前知ってんのは同じクラスだから…なんやけど。』

『…じ、じゃあどうして私の考えがわかった!!』

『普通に顔に出とったで。』

… … … は、恥ずかしい…!!
私は一体今まで何という妄想をしていたんだ…!!
エスパー白石!?厨二設定にもほどがある…!!
というか…私の考えはそんなに顔に表れていたのか…!!
わ、笑われる…絶対笑われる…明日から学校来れない…!!

『さん、やっと俺と話してくれたな。』

『…え。』

白石蔵ノ介は笑っていた。
穏やかで優しい、それでいて綺麗な顔で。

『俺、よく保健室に来るんやけど、
その度に君がおってな。
前から気になっとったんや。』

『…わ、わたし…?』

『せや、けど君が誰かと喋っとるとこ見たことなくてな。
ある日偶然、先生と君が喋っとるとこみて、
可愛えなぁって思ったんや。』

『…え…な…ななな何言って…』

『あの時の笑顔、俺にも見せてくれへん?』

突然告白まがいの事をされて混乱した。
顔が熱くなってくるのが自分でもわかる。

『…そ、そんな事いきなり言われても…』

こう言うのでいっぱいいっぱいだった。

『…せやな、すまん、混乱させて。』

そう言うと白石蔵ノ介は保健室から出て行こうとした。

『…ま、待って…!!』

考えるより先に身体が勝手に動いた。
私は白石蔵ノ介の服の裾を掴んでいた。

『あの…その……………』
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