第9章 戦国絵巻/幸村精市 3/23更新
「ん……ん……?」
真田の怒鳴り声が、うるさかったせいかどうか、定かではないがゆっくりと意識を覚醒していく精市
「精市さま!?」
「うん……?此処は?」
眩しいと感じながら、瞳をあけると
真っ先に映るのは、愛する妻の顔
右手を握られているので左手を伸ばし、愛する妻の頬にふれる
「おかげんは?」
意識が戻った精市と言葉を交わすの胸は、安堵で一杯になり
自然と涙がこぼれ落ちてしまう
「大丈夫だ」
彼女を安心させるには充分すぎるほどの笑み
他人(ひと)は、彼をコトをこう評する
神に愛されし寵児
あまりにも美しい外見、芯のある男気に
他人(ひと)は、そう呼ぶのである
そして、そんな彼に惚れ込み
戦(いくさ)では、負け知らずな猛者たちが集うのが、ここ立海の国である
「良かった……」
袖口で顔を隠し、泣き顔を見せまいとする
武士の家に嫁いだ女として、人前で涙を晒すのは恥じであるためだ
「(良かった……精市さまの意識が戻って)」