第41章 一周年記念日/忍足謙也
「……」
「……」
さっきからずっとこの調子やねん
二言、三言喋っては黙り込む
(いつもは喧しいくらいに喋るなんやけど流石に今日はおとなしいわ)
なんやアッチの方向に持っていくんのが
難しいねんけど__
お互いにヤるのを意識しとるっちゅうか
なんちゅうか
「なあ、謙也……」
「なん?」
「んっとな?」
がもじもじ身体を捩り
顔を真っ赤にしとるんやけど
なんやろか?
「えっと……な?」
「なにが言いたいん?」
「目……閉じてほしいんやけど?」
視線をちょろちょろさせてちっさい声で言われたら
アカンやん
(可愛いすぎてオレ死にそうやん)
「お……おん」
照れてるを見てるとこっちまで照れてくるから急いで目を瞑ったんやけど
「……ちょい、口あけて?」
「あーん……?!……げぼっ……ぐへっ」
なんやねん?!
口をあけた途端に液体が流れ込んできよったで?!
いきなりそんなん突っ込まれたら死ぬわっ
気管に入ってめっちゃ苦しいし
「大丈夫?」
のぜってるオレの背中をさすってくれるんは
嬉しいんやけどな?
「ごほっ……な、なんなん?」
「ん?」
「……さっきのなんなん?」
ようやっと落ち着いたところで聞いてみると
「白石くんからもらったの」
「白石?」
なんやイヤな予感がするんやけど?
「即効性の媚薬らしいわ」
…………媚薬?!