第39章 満たして/跡部景吾
「オレが足らなかったんだろ?」
「えっ……そのっ………」
「だからよだれを垂らしたんだろ?」
「そんなつもりで言ったんじゃ……ないもんっ。……ただ……」
「ん?」
そんな風に優しく微笑まないでよ
胸の奥がきゅうっとなって苦しくなってきちゃう
「言ってみな」
「………甘えたかっただけ……だもん」
恥ずかしさで顔が真っ赤になって
そんなの見られたくないから顔を背けようとしたら
大きな手のひらが頬を包み込んでくれる
だんだんと近づいてくる景吾の顔を見ているのに耐えられなくて
だって、めちゃくちゃ色っぽいんだもん。
瞳を閉じた瞬間に唇を挟まれるようなキス
優しくて、甘いキス
景吾への想いが溢れてきちゃう
「景吾……好きだよ」
背中に腕をまわしてしがみつくように抱きつくと
景吾も私をぎゅっと抱きしめてくれる
それだけでも幸せな気分になれるなんて
「やっぱり……景吾不足……だったのかな?」
「満腹にさせてやるよ」
「……うん」