第38章 ピアノの調べ/榊太郎
「榊先生、一緒に弾いてくれますか?」
「ああ」
彼が座れるように少しだけ、場所を移動すると空いてる場所に腰をかけてくれた。
太ももが触れている場所が熱をもっていく。
私は、こんなに意識をしているのに彼は意識をしていない。
ピアノの鍵盤を細くて長い指が行き交う。
鍵盤を触るように私の身体にも触れてほしい……
私の頬に
唇に
その大きな手のひらで胸を包み、揉みほぐして……
そして私の大事な部分に触れてほしい……
「……愛してる」
私の耳もとで愛を囁いて
彼の指で何度となくイカされる自分を想像するだけで
私の身体は熱くうずいてしまう
時々ふれる私の左の小指
触れるだけで息が止まりそうになるくらい私の身体は、感じてしまうのに
いつまでも一緒にピアノを弾いていたい
なぜ、生きている人間の刻は止まってくれないの?
私の想いと一緒に永遠に音を奏でていたいのに
______音がやむ
弾き終わった指は鍵盤から離れず、お互いに見つめ合って動かない
私は、愛しています。
あなたを……
義理父としてではなく、1人の男として
雄弁に語る私の瞳に気付いて
一度でいいから抱かれたい
頭から足の指まで、あなたに愛されたいの
その唇で私の身体すべてを愛して
熱い熱で私の身体を貫いて
胸が、腰が疼くのを止められない
まっすぐにあなたを求めている私に気付いてよ
「……」
彼の唇が動き、徐々に顔が近づいてくる
キスをされる?
近づいてくるあなたの顔を見ていたくて、瞳を閉じる事が出来ない
喜びに胸が張り裂けそうになる
想いは通じたの?
静かな音楽室に響きわたるドアを開ける音
私たちの時間が動きだしてしまった。