第3章 童貞を卒業するっちゅう話や/忍足謙也 3/17更新
彼女に引っ張ったかれ、振られて落ち込んでいるだろうひよこ頭に近づいていく
「よっ!浪速のヘタレスターだね。ひよこ頭!」
ペシッ!
頭を叩いてみる
若干、涙目のひよこ頭
嘘でしょう?
普通、振られたくらいで、泣くの!?
振られた経験のない私には、信じられない
「なんやねん?」
「流石、浪速のスピードスターだよ。彼女に振られるのも、速いね」
「何で知ってるん!?」
あらっ、顔が、赤いよ?
「やだなぁ、もうっ。一部始終、見てたよ?」
優しく微笑みかけてあげるからね。
「っー!!」
頭を抱え込みながら、しゃがみ込んでしまったひよこ頭
「落ち込むの?」
「当たり前やろっ……ぐすっ……」
えっ?今、鼻水すすった?
泣いてるの?
マジで?
「まあ、しょうがないよ。彼女から、キスしてアピールを無駄にしたんだからさ。ほんと、童貞くんだね」
しゃがみ込んで、ひよこ頭の顔を覗き込むと
「自分、冷たすぎやん!」
うるうる瞳で私を見つめてくるから、つい私は見下してしまう。
「しょうがないって、言ってるでしょう?童貞なんだから」
「なんべんも、言うたらあかんやろ!傷つくんやで……俺かて」