第16章 壊れている世界/跡部景吾 3/31更新
忍足のお気に入りのロッキングチェアー
トレードマークの眼鏡をかけていない
「うっ……」
「!?」
微かに聞こえた忍足の呻き声
まだ、息があるのか?
「生きてる……の?」
俺の胸に顔を埋めていたが、動きだす
俺の腕から離れ、忍足の側に近寄る
「大丈夫?」
声をかけるに、微かに反応する忍足
震える手は、を求めているのか?
『跡部、お嬢ちゃんを自由にしたり』
俺が、束縛していたのか?
の全てを奪ったのは、俺自身なのか?
どうすれば良かったんだ?
何が、正しいんだ?
ただ、俺は……
「景吾……忍足くん、死んじゃったよ」
抑揚のない声
そうっと俺の手を握り締める
その手からは、体温を感じるコトが、出来ない
「そうか……忍足も逝ったのか」
ゆっくりと血まみれの部室をみていく
ジロー、甘え上手だったからつい、甘やかしちまったぜ
宍戸、お前の陰で努力している姿を見るのが好きだったぜ
鳳、最後までノーコンだったな。もっと、きちんと指導してやればよかったな
日吉、テメーの下剋上は、かなわなかったな
向日、お前の太陽みたいな笑顔に救われた時もあったんだぜ
忍足、教えてくれよ
狂っていたのは、俺か?
か?