第15章 素敵な夜/仁王雅治 3/30更新
ベットにを寝かせ額に張り付いている前髪を直していると
うっすらと瞳を開ける
「……仁王…さん?」
「目が覚めたか?」
「……?」
まだ状況が、把握しきれてないんじゃろう
惚けとる
しかし
困ったもんぜよ
潤みきった瞳で見つめられると
誘われているようで勘違いしそうになるぞ
「誘ってるんか?」
心と裏腹にの頬を撫でてしまうんじゃが
「仁王さん……好きです」
ヤバい
俺の口元が一気に緩むぞ
それを隠すように
「まだ、酔ってるようじゃな。今、水を持ってくる」
「酔ってません!!」
力強く答えるの声を背中越しに聞いて部屋を出ようとすると
背中に温かいぬくもり
好きな女にどんな状況であろうが
告白されて喜ばない男はいない
……が
今は、マズい
の本心が
わからん
「仁王さん……一夜限りでも良いんです」
「本気か?」
「私、本気です!!それに、仁王さんの家庭を壊す気は……ありません」
ん?
「家庭……?」
俺には壊されるような家庭は、無いぞ
「……はい」
「何を勘違いしてるのか……分からんよ」
「……指輪」
小さな声で呟く
その言葉で
納得じゃよ
俺の左手くすりゆびの指輪か
「コレは、そういう意味じゃないんじゃよ」
「えっ?」
の手を取り、指輪にふれさせる
「コレは、女除けじゃよ」
「女……除け?」
「そうじゃ。女除け……本命以外から身を守るため」
すっかり忘れとった
本命からも身を守ってどうするんじゃろ
俺もアホじゃな
「くくっ……」
「?」
あまりのアホらしさに笑いが止まらん