第15章 素敵な夜/仁王雅治 3/30更新
「すまん。タバコ、吸ってもいいか?」
「どうぞ」
胸ポケットからタバコとライターを取り出し、口に加え火をつける仁王さん
タバコを吸う姿も様になるなんて
やっぱりイケメンは、何をしても格好良い
「ん?惚れたか?」
口角をあげ、ニヤリと笑う仁王さん
思わず素直に
うん
頷きそうになってしまいそうになる
それを誤魔化すようにグラスに入っていたお酒を呑み干す
「ぷはー」
「ペースが早いんじゃないのか?」
「大丈夫ですよ。私、お酒強いですから」
「そうなのか?」
ううん
本当は、逆です
アルコールには、慣れてない
でも、今私が呑んでいるお酒が
甘くて呑みやすいし
なにより、素面で仁王さんと対面していられない
いつもは、鏡越しで仁王さんを見ているけど
今は、真正面
照れてしまい、視線さえ簡単に合わせるコトが出来ない
それに……
今更なんだけど
気付いちゃった
仁王さんの左手くすりゆびに光る指輪
やっぱり……
そうだよね
こんなにも格好良いんだもん
独り身なわけ……無いよね
「どうかしたのか?」
優しい声に涙が出そうになって
それを隠すように明るい声で
「おかわりっ」