第12章 不安な心に口づけを……/仁王雅治 3/27更新
優しく問い掛ける仁王の言葉に、ゆっくりと頷く
「すまんかったな。不安にさせて……」
安心させるように、優しくゆっくりと凛の髪を梳いていく
「いいのか?」
いつもの仁王であれば、相手の了承はとらない
抱かれるのを拒否する女なんか、いなかったからである
でも、今回は違う
何気なく抱き寄せ、髪を梳いているが指が震えてしまう
心臓が、破裂しそうなくらい脈打つ
童貞じゃないんだがな……
彼女に気付かれないように、鼻で笑う
自分の腕に閉じ込めた彼女が、愛おしい
嫌われたら、底無し沼に入り込んでしまいそうなくらい
不意にキュッと背中にまわされた指に力が入るのを感じた仁王の頭が、くらくらしてくる
「私……魅力ない?」
見上げてくる大きな瞳は、不安気に揺れ、恥ずかしいのか、頬は桜色に染まっている
「そんな顔したら……いかんよ?」
ふっと笑う彼の笑顔に心が、奪われていく
大きな手のひらが、の頬を包み込み、親指で唇をゆっくりとなぞってゆく
それが合図のように、静かに瞳を閉じていく