第12章 不安な心に口づけを……/仁王雅治 3/27更新
「黙っとったら、わからんよ?」
背中の愛おしい重みを感じ、自分の欲を必死に抑えつける仁王
「むう……」
「ちゃんと、言いんしゃい」
ちゃんと言えって……どう言えっていうのよ!
抱いて下さいって言えばいいの?
言えないよう
恥ずかしいもん
じゃあ、浮気してるの?って聞けばいいの?
それも、無理っ!
言葉がみつからず、ただ仁王の背中に顔を埋める
「仕方ないのう」
呟くと同時に、体を横に倒す
ころんと仁王の背中から、離れる
散らばった前髪を指先で直す
「俺には言えんのか?」
「……恥ずかしいもんっ」
照れたように笑う
その可愛らしい笑顔に、抱きしめたい衝動に駆られてしまう
マズいじゃろ……
心の中では、駄目と言い聞かせるが、抱きしめたいという欲求に負けてしまう
を自分の腕の中に閉じ込めて、考え始める仁王
“俺には言えない“
“恥ずかしい“
この2つの言葉の意味する事といったら
多分……アレじゃな
何となく、そう思ったんじゃが……
良いんだろうか
悩んだところで、解決なんかするわけない
それくらい仁王にだって、分かっている
「不安か?」