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【合同企画】 その駅の名は

第4章 五人目


駅へと続く一本道を黙々と歩いて行く。ふと、何かに気がついたかのように葉山が辺りを見回した。

「どうした小太郎、何かあったのか?」

キョロキョロとせわしなく辺りを伺う葉山に根武谷が尋ねると、葉山は頬を掻きながら口を開いた。

「んー?なんかさっきからチリンチリン鳴ってるのが気になってさー。この辺なんもないのに鳴ってるから」

「そういえばそうね……行きにも聞こえたけど今の方がはっきり聞こえるわ」

「だからどっかの家の風鈴じゃねーのか」

鈴の鳴るような音は少しずつ大きくなってきている。否、近付いていると言った方が正しいか。いつの間にか別の話題に移っていた三人に対して、赤司と黛は黙っていた。だがその表情は対照的だ。険しさを増した表情の赤司に対して薄く笑みすら浮かべている黛。先頭を歩く赤司と最後尾を歩く黛。互いの表情は見て取れないはずなのにも関わらず、赤司は苦虫を噛み潰したような顔をし、黛は楽しげに笑みを深める。

また少し近い所で、チリンと鈴の鳴るような音がした。
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