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【合同企画】 その駅の名は

第1章 無人駅


気づいた時にはもう、彼ら四人しか乗客はいなかった。車内アナウンスが終点を告げる。慌てて降りるとそこは寂れた無人駅だった。



今日は市内の高校との練習試合があり、当然のごとく圧勝した帰り道、一旦学校へ戻るために電車に乗った所までは四人共記憶があった。だがいつの間にか眠ってしまったのか、車中の記憶がない。一緒にいたはずの他の部員達の姿は消えていた。それどころか、他の乗客の姿も全く見当たらない。おかしな話である。四人が四人共、同時に居眠りをするとは考えにくい。第一、もしも眠ってしまったのなら下車駅に到着する前に他の部員達が起こすだろう。なにしろ彼らは洛山高校男子バスケ部の一軍レギュラー、しかもスタメンである。それも主将と副主将が揃っているのだ。置き去りにしていくはずがない。乗り過ごしたにしては不自然過ぎる現状に慌てる者、気づかない者、面白がる者、冷静に観察する者。四人がそれぞれの反応を見せる中、一陣の風が吹いていった。
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