第5章 唯一無二の存在
月日は俺たちが
二年に進級した頃に遡る。
黄瀬が…あ、兄の方が
入る前の話。
彼女…涼音は
桃井さつきと一緒に
帝光中のマネージャーとして
働く一般女生徒だった。
そう、あの頃までは…。
「今日もお疲れ様です!」
そういって彼女は練習が終わると
部員が多いにも関わらず
一人ひとりにドリンクを笑顔で
手渡ししていた。
「ありがとうございます
涼音さん」
「黄瀬、ありがとうなのだよ」
「涼音ちん、ありがと~」
一軍メンバーに次々と渡していく。
「涼音ー!俺もー!」
「きゃっ…あ、青峰くん、
はい、ドリンク」
いちいち抱き着いて
ドリンクを受け取る
エース、青峰大輝。
「さんきゅー!」
こいつは涼音のことが
好きなのだろう。
明らかに態度が違う。