第5章 きっかけ///黄瀬夢
「うーん…分かったぁ…」
「わかってないっすね…まーなーみー」
オレは真奈美に勢いよく抱きつく。
一瞬驚いていたが、彼女は優しく頭を撫でてくれる。
首筋に顔を埋め、ギュッと強めに抱き締めた。
「俺寂しかったっす〜」
「ごめんね、これからは気をつけるよ」
「真奈美、俺のこと好き…?」
「うん、好きだよ」
「どれくらい?」
「え、どれくらいか?…うーん、すごく好きだよ」
「俺、真奈美と一緒なら死んでもいいっす!」
「えー死んじゃうの?」
それは嫌だなぁ、とクスクス笑う真奈美。
俺、結構本気なんすけど…。
「それくらい好きってことっす!愛してる…ずっと側にいて欲しいっす!」
「ありがとう。…なんだかプロポーズされてる気分」
真奈美は少し恥ずかしそうにして、抱き締め返してくれる。
そんな彼女が愛おしくてたまらなかった。
「…マジで俺と結婚して欲しいっす」
「…え?」
「指輪はすぐ用意するっす。だから…俺、真奈美を俺のお嫁さんにしたいっす。…ダメっすか?」
顔を上げ、真奈美と目を合わせる。
真っ赤な顔した真奈美が、目を白黒させていた。
「で、でも仕事に支障が出ちゃうんじゃ…」
「そんなの、どうとでもなるっす。もう、五年も付き合ってるんだし、仕事なんて干されたらまた別の探せばいいっす!俺、自信あるんすよ」
ニッと笑うと、つられて真奈美も笑う。
この笑顔が大好きで、今までどれだけ救われてきたか。
「だから、俺と結婚してください」
「…うん」
へへっと照れて笑う彼女がまた可愛くて。
きっかけはちょっとした嫉妬だったけど。
彼女を、一生守ってあげたいと思う。
「真奈美は俺のものっす。絶対離してやんないから」
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end
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おまけ+あとがき