第3章 可愛い君へ//氷室夢
「こんなに可愛い彼女に近づけないなんて、俺を殺す気なの?照れてる真奈美も可愛いよ…」
本当はここで押し倒してやりたいくらいだけど、せっかく想いが伝わったのにまた警戒されたくない。
「氷室先輩はいつも恥ずかしいことばっかり…」
潤んだ瞳で俺を見つめる、困った表情もまた可愛い。
「さぁ、帰ろうか。何を言われても送って行くからね。夜道を彼女一人で帰らせるなんて、男として最低だろ」
彼女の手を取り、体育館を出る。
帰り道、手を繋ぎながら歩いていると、彼女が小さい声でボソボソ言い出した。
「氷室先輩の彼女が私なんて、周りに知られたらって考えると恐ろしいです…」
「どうして?」
「氷室先輩、モテすぎなんですもん…綺麗な人がたくさんいる中で、私なんかを選ぶなんて…ほんと怖い…」
ほんとにこの子は自分に自信が無いんだな…。
壊したくなるくらい、こんなに可愛いのに。
「いいかい、真奈美」
俺は足を止め、彼女を向き合わせた。
「俺が選んだんだ、他の奴に文句は言わせない。何があっても俺が守るよ。…それだけじゃ足りないかい?」
そう言うと、彼女は困った顔で首を振る。
「分かればいいよ。真奈美はこんなに可愛いんだから、自信持って。本当は、今、ここで襲いたいくらいだよ」
「えっ」
「クスッ…まぁそれは、今度にしよう。今日は真奈美にキスが出来るようになっただけで、満足しておくよ」
彼女の腰に手を回し、今度は少し深めのキスをする。
ギュッと目を瞑る彼女もまた、可愛い。
「もう離すつもりはないからね」
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end
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あとがき+おまけ