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黒子のバスケ夢 短編集(一章完結)

第1章 アンラッキーアイテム//緑間


「…真ちゃん、何してんの?」




「今日のラッキーアイテムは、日傘なのだよ」







俺の行動に不審を抱いた高尾が声をかけてきた。





「ブフッ…いや、ラッキーアイテムはわかるんだけどさぁ…。学校の中で日傘差す必要なくね?…ブッ」


「うるさいのだよ!今日の運勢は最下位、念には念が必要なのだよ!」




今日のおは朝の占いは最下位。
傘は出来るだけ差していた方がいいと言っていた。
いつもいつも、おは朝占いが最下位の時は決まって調子が悪い。




「ぶははははは!!いくら最下位だからって!室内で傘差してたら危ないっしょ!てゆーか不審者!」



「そこはもちろん気をつけているのだよ!小さめな日傘を選んだし、他人に被害を与えるようなことは、絶対に無いのだよ」





人が来たら傘は閉じる。
当たり前だ。
だからこそ小さめな日傘を選んだ。



「いやいやいや!その小さい傘がまた笑えるんだけど!!真ちゃんに合ってないっしょ!てゆーか、日傘自体が似合わねー!!ウケるんだけど!!」



「黙るのだよ!」




腹を抱えて笑う高尾を横目に、傘を差したまま教室に向かって歩き出す。





「ちょ!真ちゃん!」





ドンッ





「きゃっ…」








やってしまった。
高尾に笑われたせいで、少し気が急いでしまったが故に曲がり角で人にぶつかってしまった。
俺としたことが、何てことを。
ラッキーアイテムのせいでまさかこんなことになるとは…こんなことは初めてだ。





「す、すまない!大丈夫か?」





傘を閉じ、尻もちをついた相手に駆け寄る。






「いててて…あ、はい、大丈夫です。こちらこそすみません。ぼーっとしてて…」




彼女はゆっくり立ち上がり、尻もちついたスカートをはたいた。
ぶつかった相手が女性と分かって、さらに申し訳なくなった。






「いや、俺が悪い。傘を差していたのだから、俺が細心の注意を払うべきだったのだよ。本当にすまない。怪我はないか?」





「か、傘…?」




彼女は俺の手元にある小さな日傘に気付いたようだった。
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