第1章 幼馴染
俺はいつからか
葉月のことを
幼馴染としてではなく
一人の女として
意識するようになっていた。
彼氏ができたと
報告を受けるたびに
ショックを受けたが、
自分の思いを伝えられないことに
苛立ちもした。
いつか葉月の持っていた
少女漫画を読んだ時
その内容が今の
俺と葉月を
描いているような内容で、
その時は単純に
『さっさと告っちまえよ!』とか
思っていたけど
そんな簡単な問題じゃないと
今ならよーく主人公の気持ちが
わかる。
「私しばらく恋するの
やーめよー!」
『そのセリフ何回目だよ。』
「ねー、宏光はどうなの?
彼女さんと。」
『あのね、幸せ絶頂だったら
今この部屋にお前を上げてない。』
「あ、そっか。笑」
実は俺にもついこないだまで
彼女はいた。
でもやっぱり葉月が好きで
その気持ちが隠せきれてなくて
フラれちゃったんだよね…。
葉月は洗面所に行き
ストックしてある歯ブラシで
歯を磨き始めた。
『おいおい、ここはお前んちか。』
とか思いながらも
黙ったままテレビをつけた。