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箱根学園生徒会長でございます【弱虫ペダル】

第2章 出会い 〜荒北編〜


あれから1年経ち、箱根学園生徒会長である私、宮坂葵は2年の春を迎えた。
入学生に対する式辞を持ち、体育館の舞台の上に立って生徒たちを見渡す。

「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます……」

誰もいないからという理由で始めた生徒会長の役職も、箱学の生徒達には受け入れられつつある。おそらく次の生徒会選挙も会長の対抗馬はいないだろう。生徒会役員は誰か入ってきてほしいけど……。

「短い高校3年間、この箱学で存分に満喫してください!!」

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「うわあ……疲れた……」

昼休み、私は生徒会室のソファで横になる。どうして箱学は入学式の日にも授業があるんだか。

(あ、新入生歓迎球技大会のしおりを作んなきゃいけないんだった……あ、あと部活動名簿の確認と活動報告書の処理して学校説明会のパワーポイントの作成……)

たった一人で生徒会をやること自体無茶だと思うけど、私のモットーは「人がやらないことは自分がやる」だ。それに、引き受けたからにはやるしかない!!

1人で勝手にガッツポーズを決めて気合を入れていたところ、生徒会室のドアがノックもなしに開けられる。

「宮坂チャアン休ませてェ」

ノックをしない男なんて、私はこいつ以外知らない。

「荒北、ここはお前の休憩所じゃないと何回言ったらわかるのかな?」

黒髪短髪に目立つ下睫毛。何より喋った時にしっかりと歯茎まで見えてしまうことから、私は面倒臭くなったら彼を歯茎君と呼ぶときもある。
本名は荒北靖友。うちの学校で一番さかんな自転車競技部の一員である。

「ここのソファ座り心地がいいんだヨ。なんか適当な仕事手伝ってやるからここにいさせろ」
「君に仕事を頼んだら終わる仕事も終わらなくなるよ、荒北」

荒北は私の隣にストンと座り、頭の後ろで手を組む。

「……あー、もう」

私はため息をついてソファから離れ、仕方なく生徒会室内のパソコンに向き合い、仕事を始めることにした。





何故、私がこんな態度の悪い男と仲良くなったのか。



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