第4章 アブで不器用
「だっダメですよ先輩…っ誰か来ますって……」
アブ「大丈夫、大丈夫…平気だって真弓ちゃんがちょっと静かにしててくれれば」
給湯室で二人きりになった途端これだよ…
妙に話し掛けてくれるなって思ってはいたけど、残業した日にその理由が分かった。
アブ「ホテル行こうよ」
「え…」
久々にキスしたとか考えてて、二言目にはこれ。
なんで拒まないかなんてそんなの、先輩が好きだから。入社当初からずっと、かっこよくて仕事のできる素敵な人って思ってる。
こんな関係になった今だってそう。
アブ「もう帰るの?」
「…はい」
アブ「じゃあ送ってくよ」
「…大丈夫です」
って言って去ろうとしたのに先輩は背後から抱き締めてくる。
アブ「送らせて…ね?」
女性社員の中じゃ先輩を狙ってる人だって少なくない。そんな一人だった私は今、優越感でならない。
アブ「着いたよ、今日はどうする?」
「先輩…」
でもこんな中途半端な関係いいはずない。