第12章 ぴぴつわで片想い
つわ「…ごめん」
最初に思い付いた言葉は、これしかなかった。
『どうして先輩が謝るんですか』
つわ「だってよ、俺が唆さなきゃこんなことなんなかったろ…」
いつの間にか落ち着いた様子で川を眺めている木条。
その横顔にこんな時に相応しくないけど、やっぱりすげぇ好みだなって思った。
『私が自分で決めたんです、それに結果的には振られずに済みましたから』
つわ「…」
二人の姿を目撃した木条は、P-Pに気付かれることなく走り去ったらしい。
『P-Pさん、すごく幸せそうでした』
つわ「!」
『私はあんな顔、見たことなかった…完敗ですよ』
そんな、苦しそうに笑うなよ…
『先輩?……!!』
俺は木条にキスした。理由はよく分かんなかったけど…したかったのと慰めたかったのと腹立ったのとなんかそんな感じ。
『……』
つわ「……」
唇を離して木条を見つめる。やっぱりすげぇ好み。
つわ「俺、高校から片想いだから…お前のこと」
『!』
つわ「そんなお前見て、もう限界だった…いい先輩って位置はもうやなんだわ」
もう5年になるな、俺たちって。
つわ「俺には、木条がずっと大事だよ」
そう伝えたら、顔くしゃくしゃにして泣き出したこいつが…大好き。