第11章 全身組でゆずれない
レト「あっ…」
「どうしたんですか?」
レト「ケータイ忘れた…」
「上ですかね?」
レト「たぶん…見てくる、待ってて」
「あ、はい」
本当は一緒に行こうかと思ったけどそんなこと言う暇もなく、レトさんはついさっきまで乗っていたエレベーターに乗り戻して上がってしまった。
私は言われたとおり待とうと、ロビーへと向かう。
「あ…」
そこでたった一人ソファに座りながら、iPhoneをその大きな片手で操作している彼を見つけた。
キヨ「あ、やっと来た」
「え…待ってたんですか?」
キヨ「うん、てか遅いんだけど」
もちろん、約束を取り付けていたわけではありません。言ってしまえばキヨさんが勝手にここに居ただけなんですけど。
でも…
この状況は、とてつもなく悪い予感がします。