第5章 つわはすで三角関係?
?「おい、木条真弓!」
「!」
いよいよ幻聴まで聞こえてきたのだろうか。背後から聞き慣れた声が、私の名前を偉そうに呼んでる気がする。
でも泣き顔を見られたくなくて、振り向かずにいた。
「な、なんでここにいんの…」
つわ「俺は………腹減ってんのにパンケーキ勧めてくる奴とか、初対面で助手席乗ってくる奴とか、口数多くてベラベラひとりで話してる奴とか、そんなんよりも…」
今のって、あの友人を指しているんだろうか。
つわ「俺の好きなパンケーキがロイホのだって知ってて、人のことばっか優先して、黙って見てるふりしてすげぇ不機嫌そうな…」
そこから急に声がしなくなって、振り向いた私。でもその視界が暗くなるのと同時に、身体があったかさに包まれる。
つわ「…幼馴染みの方が合ってんだよ」
「!」
私を抱き締める彼は、低く枯れたその声で耳元に呟いた。
「なっなんで…あの子は…っ」
嗚咽混じりで言いたいことが全然言えない。
つわ「はあ?何言ってんだよ、お前に会えるから来たんだっつーの」
そしてその腕に力を込めて彼は言う。
つわ「これからはパンケーキ一緒に食べんのも、助手席乗っていいのもお前だけ…
……遅くなってごめん」
そして何年もずっと幼馴染みだった私たちは、今日変わっていく…