第18章 実況者で密室(エレベーター編)
キヨ「…木条」
キヨさんは、泣きじゃくる私の頬に手を伸ばそうとした。
「またそうやって!」
キヨ「!」
しかし私は、気持ちとは裏腹にその手を力一杯に弾いた。
「私を振った分際で…どうして優しくするんですか…っ」
1ヶ月前、私はまだ話したことすらなかったキヨさんに告白して振られた。でもその翌日から今まで遠くから見ているだけだった彼が、自ら私に話し掛けて来るようになって、私はそれにかまけて、彼を忘れることを諦めていた。
「その気もないくせに…っ」
キヨ「……」
忘れ物ひとつでこんなに惨めになるなんて思ってもみなかったな。次からは絶対にしないようにしないと。