第18章 実況者で密室(エレベーター編)
そして同窓会会場の階を押そうとしたとき…
ドンッ!!!
「!!!」
私の耳横を彼の腕が掠め、背後からちょっと前に流行った壁ドンをされる。
あろ「…こっちむいて」
私は怯えながらも、その彼の優しい声にゆっくりと振り返る。
「!」
何に驚いたかって、彼が苦虫を噛み潰した様な顔してて、しかも顔から耳まで真っ赤にしてこっちを見てたから。
そして彼は、割れ物を扱うように優しく抱き締めてくる。
「えっ…ち、ちょっと…」
あろ「うるせぇ喋んな」
耳元で今にも消え入りそうな声でそんなこと言われたら、もうこの気持ちは抑えきれない。
「……」
あろ「……」
無言だけど、すごく甘い時間が流れる。
あろ「…ねぇ」
「…なに」
そして彼は、本当に泣き出してしまうんじゃないかって声で言った。
あろ「…俺の事好きでいて」
「!」
なんだ、バレてたんだ。
そう分かったらなんだか心が凄く軽くなって、しかも彼のこんな姿を見れちゃったから。
私は静かに頷いた。