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厄介な天帝さん

第6章 6話


(楓side)

逢沢くんは私から離れるようになった。それはそうだろと自分でもわかっていた。
あれから逢沢くん自身の言葉で私を振るなり怒るなりしてくれれば私は彼から解放されたんだろう。
今更になって彼女ぶった所で彼が私の下に戻ってくるとは思わなかった。ただ彼をかわいそうだと思っていた。
それは同情であり彼女としての使命ではなかった。

そもそも初めから彼とはそういう甘い関係を築ける中ではなかったのかもしれない。
なら簡単に頷くべきではなかったんだろう。

私はいつしか男ったらしと影で言われていたが、それはそうかもしれないと半分自業自得だと片付けていた。
''逢沢君がかわいそうでしょ??'”
私もそう思う。

生憎横の彼はわかっているだろう。
私の事なんてお見通しなんでしょ??
いつも正しい事を言うくせに彼は出された問題の式にはバツをせず、最後の答えに訂正するだけ。
いつも私の気持ちを優先し尊重しようとする、そんなとこまでレディーファーストなんて。

結果なんて誰にもわからない。
そういった友人はこういう場面で彼ならどうするのだろうか。
そんな彼を好きなあの子ならどうしたのかな。

時間は七時を回って暗い道。
部長の仕事で遅くなる私と横の赤司はいつもとは少し遠回りをした道で帰った。
なぜかはわからないけど彼といると答えも出そうな気がした。
今日はいつもの様にまた晩御飯を共にする。
ついでに勉強でも見てもらおっかな。

季節はもう冬に近づこうとしていた。
日は短くなり帰り道に団地を通れば暖かい家族の笑い声や夕飯の匂いを漂わせる家も多くなっていた。

私たちの関係はこのままかもしれない。
焦りは余計に私の考えを混乱に導く。

''ずーっと一人にしないよ。''
いつまでその言葉を信じてていいの?

赤司「山吹。今日は苺大福でも買って帰ろうか。」

横で歩いていた彼が徐に話した言葉はいつかの日のようだった。

私「そうだね、そうしよ。」

赤司「でも、焼きそばはお昼に食べてたから買わないぞ。」

私「言うと思った、わかってるって。笑」

一つだけ整理のついた答えがある。というよりも昔からわかってたことなんだけど私は彼の赤司の事がずっと好き。
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