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厄介な天帝さん

第5章 5話


(赤司side)

今日は久々に山吹と2人でのんびりしてしまった気がする。
時計を見れば10:00だ。

仮にも彼女は雌(笑)なわけだから幼馴染としても男としても早く帰らせるのが俺の中でのルールではあった。
とはいうもののいつも9時だったりするわけだ。

もう子供ではないとはいえ、まだほんの中学生。
俺としてはもっと勉強していただきたい。
まぁ、俺も甘やかしてるわけだから何とも言えないわけだけれど。

彼女を追い出す時に彼女の家の影に誰かがいたことに気がついていた、だから始めは不審者かと思っていたが違った。
あれは、確かテニス部の逢沢だった。

直接話す機会もなかったし、クラスも一緒だったことはないが顔を合わせばいつも俺の事を敵視していたことは彼のその目が訴えていた。

逢沢敬太、確かいい噂も悪い噂も聞かないやつではあった。
それは単純にモテていないからとかいう話ではない。それに彼には俺から見ても魅力のある人だと思う。
騒がれそうな爽やかな顔立ちでテニス部の部長という肩書きまである。
別に山吹に見合うかどうかの話での心配ではない。1番気になるのは''聞かない''と言うことだ。
本当に性格のいいやつなのかもしれないが、それはありえない。
現に黄瀬なんてただのシャラ男と思われどこか軽視されてるところがある。実際違うとは言い切れないが。

何となく俺は気になって外を眺めていたら噂の逢沢と山吹がいた。
本当は盗み聞きするつもりもないし、何より約束したはずだ。
それでも窓を閉められないのは幼馴染の事が心配だからだ。

外の声は微かに聞こえるが実際何のことか余り聞いていてもわからない、いっそ外に出て聞こうかと思ったが幾ら何でも流石に自分でもその考えに至ったことにどん引いた。
言葉はどんどん少なくなってきて代わりに夜にも紛れず熱い吐息だけが聞こえてくる。

俺は本当に家から飛び出したくなる気持ちを抑えてとりあえず丁度いい手段を思い至ったから実行した。
正直に言えば紫原には悪い事をしたと思っている。
メールの内容も半分は脅しだった。

案の定俺の願っていた現状打破員紫原は早速持ち前の毒舌で相手を攻撃した。

紫原「赤ちんも楓ちんも人使い荒すぎも〜」

紫原から返ってきたノートには綺麗な字で付箋に皮肉な文脈があった。
俺達はこれでいいんだ。
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