第5章 将来の花と太陽
「い ちご………………?」
青年はそう呼ばれていた。
家の看板には 黒崎病院 の文字。
ここが青年の家なのだろうと桜は思った。
ということは。
青年の名前は……………………
「黒崎 一護………………。」
桜は一護という青年に恋をした。
一目惚れ。
青年の名前を聞いた瞬間に気づいた。
これが恋なんだと。
「……どうしてよりによって 現世の人に。」
彼に自分の姿は見えない。
ただ見ていることしかできない恋。
「……こんな恋 あっていいの?」
ただただ自分が辛いだけ。
自分はこれほど相手のことを知りたいと思ってるのに会話もできない。
まず 自分の存在を知らない。
自分が見えない。
「……さいあく。」
いろいろな事を考えたら桜は涙が出てきた。
ポタ……ポタ……。
「なくな まだ諦められる。
この恋はなかったことにできる。」
しかし どうしても彼のへやをみてしまう。
電気の消えた部屋。
もう寝たのだろう。
「……私も帰んなきゃ……。」
恋の花が 咲き誇る前に………………。