第21章 蝶の奪還 episode4
白哉「50年前の春の朝、私は妻を亡くした。」
ルキア「存じています、緋真さま。
兄様はその奥方によく似た私を気に入り、
私を妹として屋敷にお迎えになったと。」
白哉「そうだ、ルキアにはそうやって嘘を教えるように私が屋敷の者に言っていたのだ。」
ルキアの言葉が詰まる。
それが嘘ならなぜ兄様は私を……
白哉「緋真は……お前の姉だルキア。」
ルキア「……え?」
白哉「緋真はまだ赤子だったお前と暮らすことに限界を感じお前を捨て逃げたと言っていた。そして緋真はそれを強く悔やんでいた。私の妻になってからの5年間も緋真はお前を探し続けた。そして5年目の春に元々体の弱かった緋真は亡くなったのだ。」
ルキアの姉である緋真が最後に白哉に願ったのが、白哉を兄と呼ばせてやってほしいということ。
流魂街のものの血を貴族の家に混ぜることは朽木家の名を下げることに繋がる。
そのため、ルキアを見つけ朽木家に招く時には屋敷の者に反対されていた白哉。
しかし、白哉は緋真を朽木家に向かい入れたときに一度、朽木家の掟を破っている。
ルキアを迎え入れることも掟を破ることに繋がる。
そこで、白哉はルキアを朽木家に迎えるときに父母の墓前に、掟を破るのはこれで最後であると誓いを立てたのだった。
白哉「……お前の極刑が決定した時私は分からなくなっていた。掟を二度と破らないという父母への誓いと妹を守るという緋真との誓い……どちらを守るべきなのか。」
そして…白哉は視線を移す。
桜を抱きしめている一護と、
見たこともないくらいに傷ついている桜に。
白哉「……礼を言う黒崎一護。
ルキアを助けてくれたこと、そして……
今までずっと……桜を守ってくれたことに…。」
一護「………。」
白哉「お前がいなかったらルキアは殺されていた。
そして、桜はお前という心の支えがいたから瀞霊廷でのことも乗り越え、そして現世でも生きていけたのだと思う。」
白哉は視線をルキアに移す。
白哉「…ルキア……済まなかった……。」