第17章 太陽と交わす夏の約束
花姫side
桜が消えていったその場所をずっと見ていた。
次会う時は名前を呼ぶ と言ってくれた。
ほんとうに嬉しかった。
でも、不安だった。
次会う時は名前を呼ぶということは記憶を取り戻すということ。
あの、忌々しい記憶を取り戻すということなのだ。
桜の斬魄刀として本当にショックだった。
自分でもこれだけショックだったのだ。
桜にとっては相当なショックだったはず。
そのせいで記憶もなくしたのだ。
花姫「桜、あたしはどうしたらいいの?」
自分の主が思い出してくれるというこれ以上の喜びはない。
でも主の忘れ去りたい過去を思い出させることにつながる。
複雑な心境だった。
主は親友を助けに尸魂界に行く。
自分もそれについて行く。
それは本当に危険な戦いが待っているはず。
自分の名前を思い出してくれたら相当な力を主は手に入れる。
花姫「桜、いつでもあたしを頼ってよ……。」
いつだって力を貸すから。
桜が消えた場所を見つめながら呟いた花姫の声はこの世界でしか響かなかった。